症状が原因で起きた病気
潰瘍性大腸炎が何年も続くと、特に症状の出ている部分は普通の人の何倍も負荷がかかってしまうようです。一般の人が、約1日に一度便意をもよおすのに対して、1日に7,8回もトイレに行っていれば当然といえば当然ですね。
負荷が大きくなると、新たに別の病気を発症させることもあります。ここでは、これまで私が潰瘍性大腸炎の症状が元で発生した病気を紹介させていただきます。
切れ痔
潰瘍性大腸炎の症状は人によって差があるようなので一概には言えませんが、私の場合、下痢と同じくらいガス(おなら)が出るようになりました。
下痢とガスのコラボレーションが潰瘍性大腸炎の一番やっかいなところだと、私は思っているくらいです。便自体は軟便や下痢なので肛門への刺激はむしろ少ないはずなのですが、このガスのせいで、排便時にはかなりの衝撃が肛門に加わっているようです。
朝起きたらお尻に激痛
あれは、潰瘍性大腸炎が発症して7年目だったでしょうか。忘れもしない、お盆の前日の8月12日のことでした。
朝目が覚めて起きようと思ったら、お尻の穴に激痛が走ったのです。その瞬間に私は察しました。「あ、これは切れ痔だ」と。
今までも切れ痔と思われる状態になったことは何度かありました。痛みはそれほど感じることはなかったのですが、トイレットペーパーでお尻を拭いた時に血がついて気づくことが多かったです。腸の出血の時もあるのですが、腸の出血は水で薄まったような色だったり、粘り気があったりするので、ある程度見分けがつきます。
ただ、その時は血を確認するまでもなく、お尻が痛くて痛くて、直立姿勢が取れないほどでした。そんな状態でも朝から何度も便意がやってくるので、トイレに行かないわけにはいきません。排便の度に悶絶し、痛みが治まってくるまで便座にうな垂れていました。当然出血もありました。
間違いなく切れてます
お盆直前だったので病院もお休みかと思ったのですが、近くの肛門科が開いるのをネットで発見し、何とか自転車に乗って病院へ。診察前の問診で『潰瘍性大腸炎の治療中です』と書いていたのですが、先生が診察前に「出血があるそうだけど、潰瘍性大腸炎による出血の可能性もあるから、いつも君が行っている病院で見てもらったほうがいいよ」と。
私は『まともに立って歩けもしない中でやっとたどりついたのに、潰瘍性大腸炎の病院まで行けるか!』という思いでした。
何より、この痛みと出血は痔で間違いないという確信があったので「先生、これは間違いなく切れてますから診てください」とお願いして、診察してもらいました。
案の定、肛門がパックリと避けていたようで(診察の時も凄く痛くて、診察時に傷口を大きくしていたそうです)、薬をもらい、その日は仕事にも行ける状態ではなかったので、一日ベッドでうずくまっていました。
肛門周囲膿瘍(痔ろう)
これは自転車に乗っていた時に、お尻の穴の横あたりにしこりのような固さを感じたのが始まりでした。
だんだんとしこりがハッキリしてきて、自転車のサドルに当たると痛みを感じるようになってきました。
これはおかしいと思い、近くの肛門科に受診したところ「肛門周囲膿瘍だねー」という診断が出ました。
肛門周囲膿瘍とは
肛門周囲膿瘍は簡単に説明すると、肛門の中のくぼみに最近が入り、そこからトンネルのように奥に穴が進んで膿が溜まっていく病気です。下痢や免疫力の低下が原因で発症することが多いそうです。
放置していても治るということはないらしく、悪性のガンになることもあるらしいです。
切開して膿を出す
診察のあと、そのまま治療室に移り、局部麻酔をかけてメスで切開して膿を出す処置が行われましたが、痛かったです(涙)。
なんでも、この部位(お尻)は麻酔が効きにくいんだとか。ただでさえデリケートな場所なのに。。処置は膿を出して終わりではなく、切り開いた穴にガーゼを詰めて終わりです(これも痛かった)。
ガーゼの一部は皮膚の外に出たまま。つまり、切開した場所は開きっぱなしということです。膿は治療後も出て来るので、再び体内に溜まらないように傷は開きっぱなしになります。ガーゼは2日後には抜き取りましたが、傷は自然に塞がるまで開けっ放しでした。
治療後すぐは切開した場所の痛みが強かったですが、翌日にはその痛みもだいぶ治まり、今までの膿が溜まっている痛みも無くなっていました。
ですが私の場合、治療から数週間が経ったころ、また腫れと痛みがやってきました。しかも、今度は前回と違う場所に。
同じように切開して膿を出し、一時的には元の状態に戻ったのですが、傷が塞がって3週間くらいしたらその箇所がまた腫れてきて、今度は病院に行く前に、前回切開した場所から膿が出てきてしまいました。
膿が出てしまったあとで病院に行ったのですが、専門の病院で一度診てもらったほうがいいということで、家から少し離れた病院へ行くことになりました。
下半身麻酔で手術し、お尻にリング
紹介してもらった病院で採血や超音波などの検査を受けた結果、その日のうちに手術をすることになりました。
皮膚の表面に現れている部分だけでなく、お尻の奥の方にも膿の溜まりがあり、合計4箇所くらい膿瘍ができていたらしいです。
腰椎麻酔で下半身に麻酔をかけての手術なので、局所麻酔の時のように処置中の痛みは全くありませんでしたが、術後の痛みと発熱(切開したことによる身体の抗体反応)で、手術の翌日はしんどかったです。しかも、潰瘍性大腸炎による下痢は休んでくれませんので、身体もしんどい状態で、お尻に刺激を与えないようにベッドから起き上がり、トイレに行って、またそぉーっとベッドに戻るという作業は大変でした。
膿瘍の数だけお尻に穴を開けたのですが、一番大きな膿瘍の穴には、きしめんくらいの太さのシリコン製のリングが付けられました。これも、膿が出続けるようにするためのものです。(この文章を執筆している現在、まだリングはついたままです。これが外せるのは何ヶ月後になることやら)
膿を出したことで痛みも治まり、すぐに処置が必要な状況は脱したわけですが、根治したわけではなく、今後の経過によっては穴を塞ぐための手術が必要になったりもするそうです。
2016/07/18